TMGE『世界の終わり』を聴いた
映画『青い春』を久しぶりに観たのだけれど、その日はたまたま朝から、syrup16gを聴いていた。Apple Musicに今年のフジロック出演時のプレイリストがあったので聴いてみた。ファンではなかったが、大学生のときに数曲だけよく聴いていた。20代前半、15年くらい前の話?遠い昔の話のような、そんなに昔の話でもないような。映画『青い春』を観た次の日は、ミッシェルガンエレファントの曲を久しぶりに聴いてみた。『青い春』にはミッシェルガンエレファントの曲がたくさん使われている。もう何年も聴いてなかったなと思って、聴いてみた。聴きながら、『青い春』をはじめて観たときのきっかけについて考えていた。ミッシェルガンエレファントの曲が使われている映画があると誰かから聴いて、それで映画の存在を知って、近所のTSUTAYAで借りて観たのがはじめかもしれない。いや、違う、京都みなみ会館で観たのがはじめかもしれない。友達がDVDを貸してくれたのかもしれない。全く、思い出せないのでわからない。
あの頃、今では信じられないくらい、わたしはよく悩んでいたし、暗かったと思う。あの頃の自分の日々を思い出すと、時々、他人の出来事のように感じてしまうことがある。もちろん繋がっている部分もあるけれど、少しだけ断絶がある。いまでも性格は明るくはないけれど、わたしのなかの何かが変化し、通り過ぎてしまったかんじがする。
当時好きだった曲は、今は、特別好きだと思わなかった。曲を聴いたとき、少しだけ懐かしい気持ちになった。でも、懐かしい気持ちは、窮屈で、ちょっとしんどい。終わってしまったことだからだ。今も好きだと思う曲なら聴いていたい。ミッシェルガンエレファントには、『世界の終わり』という曲がある。メジャーデビュー曲だ。当時は特別好きな曲ではなかったが、今は好きだと思った。今でも人気の曲ようだ。映像もみてみた。デビュー当時も、バンド解散前も、チバユウスケはかっこいい。細身のスーツがよく似合ってかっこいいな。一度だけ、The Birthdayのライブにいったことがある。チバとクハラがいるバンドだ。石山駅前のライブハウスでみた。小さなライブハウスだったから、フロアはぎゅうぎゅうで、ステージがとても近かった。チバはタバコを吸っていて、いや、わたしの妄想かもしれない、でも、たぶん吸っていて、ステージには煙が漂っていて、大人のお兄さんだ、と思った気がする。赤色のライブTシャツを買って帰った。よく着ていたけれど、それも今はもうない。バンドTシャツは数年前にすべて処分した。ロックバンドの曲は、ほとんど聴かなくなった。チバユウスケは1年前に亡くなった。
花組の宝塚大劇場公演千秋楽が終わって、1週間以上経った。あかりちゃんにはまだ手紙を書けていない。当日は、しょうこさんのおうちにお邪魔させてもらって、いっしょにライブ配信をみた。いつも宝塚の公演配信日は、ヅカファンの友人たちが、しょうこさんの家に集まる。最近行けていなかった。久々に遊びに行った。この日は、わたしとしょうこさん、ふたりだけだった。衣装やメイク、物語の展開について、わいわい話しながら見たけれど、終盤、ふいに寂しい気持ちになって、ぶわっと泣いてしまった。しょうこさんも泣いていた。この日は、専科の凪七瑠海さんのサヨナラショーつきの特別な公演だった。宝塚と東京、それぞれの千秋楽でのみ実施される。同時に退団する人には餞別として、ピックアップされた場面が用意されるのが通例だが、あかりちゃんは、ひとりで、銀橋で、『どうやって伝えよう』を歌ったのだった。
『どうやって伝えよう』は、とても特別な曲だ。あかりちゃんのファンはおそらく全員好きな曲だ。そして、あかりちゃん自身も、とても大切にしている曲だと公言している。あかりちゃんは星組時代、『ロミオとジュリエット』で、ロミオの幼馴染のベンヴォーリオ役を演じた。ベンヴォーリオを演じる人は、終盤でこの曲を歌う。ベンヴォーリオ役の最大の見せ場だ。当時、これを歌うあかりちゃんを配信で見て、あまりの美しさとかっこよさに底なし沼にたたき落とされた人間なので、今回、あかりちゃんが歌い出した時、びっくりしてしまった。頭が真っ白になった。何度も繰り返し聴いている曲なのに、何の曲かわからなくなってしまった。まさか、もう一度聴ける日がくるなんて、思っていなかった。
あかりちゃんは、ものすごく歌が魅力的なひとで、当時の『どうやって伝えよう』も素晴らしかったのに、当時よりも格段に素敵な『どうやって伝えよう』を歌ってくれた。あかりちゃんが歩んできた宝塚の歴史が詰まっていた。終わりが近づいてきたことを、つよく実感した。
終わってしまったあとのことは、終わらないとわからない。終わったあと、時間が経てば変わることもたくさんある。いつか特別でなくなっても、それでもいいと思う。今は、わたしたちには、終わりの時がくるのを待つことしかできないから、その時間を楽しめるといいな。あかりちゃんの宝塚歌劇団での残りの日々が、しあわせであるように、祈りたいです。
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