2024年12月15日の雑記

 「それ、ばらの木なんですよ」と物件の家主が教えてくれた。「やっぱりー!」と、お客さんはふたりで笑って顔を見合わせる。「はじめは椿かなとおもったんですけど、やっぱりばらだったんですね、枝がとげとげしているから、椿じゃないなと思ったんです」と男性のほうのお客さんが言った。わたしも椿だと思っていたが、ほんとうだ、ばらだ、とそのときはじめて気がついた。寒いのに、間違ってつぼみをつけた、ばらの花。咲くのだろうか。

   
この物件は、庭に、花や果実の樹がたくさん植えられている。春になると、ふきもとれるらしい。ちいさな畑もある。畑はいまも家主が管理して野菜を育てている。「よく実ができるいい土なんよ」と家主は嬉しそうに教えてくれた。家主に初めて会ったのは今年の7月だった。打ち合わせがおわったあと、帰り際、畑でとれた茄子を袋いっぱいに入れてくれた。上司とふたり、分けてもらって帰った。

会社は休業日だったが、内覧予約が入ったので、現地でお客さんと待ち合わせして物件の見学をしてもらったのだった。家主も同席してくれた。お客さんとは、その日初めて会った。夫婦なのか恋人なのかわからないが、何らかの親密な関係にある(と思われる)男女2人が来た。内覧中のふたりは、時折、恋人のような雰囲気を出して、ふたりにしかわからない少し閉じた世界を、ふわっと形成した。わたしは、その世界の外部にいるわたしは、ちょっと困ってしまったのだけれど、ふたりのじゃまをしないように、時々説明をやめたり、適度に見守りながら、様子を伺った。たくさん質問をしてくれるお客さんだった。質問の内容や、見ているポイントから、結構な数の物件を見学されているように思われた。時間をかけて、納得のいく家を探しておられるようなかんじがする。1時間ほどじっくり見て帰られた。終わったあと、家主がお茶を淹れてくれた。緊張したらしい。丁寧にお客さんと接してくれて、ありがたかった。今日の感想や、家主の娘さんの話などを聞いた。

休日出勤はできるだけしたくないけれど、外出中、事務所から電話がかかってくることはないし、物件まで気楽にドライブできるのは、良い。30分ほどドライブした。国道8号線はいつもどおり、退屈でつまらない風景だけれど、ふと、佐内さんの写真みたいに見える瞬間がある。佐内さんの写真を探しながら運転した。わたしは、ときどき、佐内さんの写真のなかにいる。







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