2025年8月 − 07
茶封筒。こんなのでてきましたよ、と残置物処分業者のおじさんから手渡された。母の実家の整理。押入れの天袋からでてきた茶封筒の中には、写真の束が入っていた。祖母は、写真が好きではない。特に自分の写真はほとんど捨てたといっていたが、茶封筒に入っていたのは、祖母がまだ故郷にいたころの、若い時代のモノクロ写真だった。祖母は施設に移ったので、整理には立ち会っていない。母がいっしょに来ていたので、これどうする?と一応聞いてみた、一応。整理に来たわたしは、これがこの家との最後の時間になると思って、しっかりお別れをしようと思ってやって来たのだが、アルバムの写真発掘に夢中になってしまい、母もわたしをみて、好きなようにしてくれと半ば呆れていたので、写真についても、なんでもいいで、こっそり持って帰ったいいやん、というどうでもよさそうな返事を返してきた。
なんでその写真が欲しいかと言われると、それはうまく言えない。身近な人にも、自分の知らない時間があるのが嬉しい気がする。祖母のことをもっと知りたいのかもしれない、それは母のことを知りたい、ということでもあるのかもしれない。
家の空気は、わたしが普段よく仕事で訪れる空き家特有のにおいがして、人の気配が薄くなっていた。夏休みにこの家に来るのが好きだった。わたしの、子どもの頃からの、長い夏休みは終わったんだなと思った。
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