2025年10月 − 04
今週はずっと、11月〜12月に静岡芸術劇場で行われる『ハムレット』を見にいくかどうかずっと迷っていた。けっきょくまだ決めることができていない。
演出は上田久美子さん。元宝塚歌劇団の演出家の方だ。ファンなのだ。
SPAC秋のシーズン2025-2026 #2
『ハムレット』
演出:上田久美子
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
(角川文庫『新訳 ハムレット 増補改訂版』)
出演は劇団SPACのみなさん。
11月はすでに1公演、別の公演チケットをとっていて、そのほかは会社の社員旅行があったり、もちろん制作の時間もとりたいので、あまりスケジュールをつめたくないのだけど、いやあ、面白そうで、どうしようかなとずっと考えている。
上田久美子さんはnoteで有料記事を配信されていて、ずっと購読している。9月ごろから『ハムレット』の稽古状況の報告もあがってきて、その報告が面白いもんだから、ああ、やっぱりいきたいなあとなってきている。noteには『ハムレット』の解説記事もあがっていて、それが勉強になるし面白い上に、SPAC俳優の榊原有美さんとの雑談動画も購読者には無料で見れるように掲載してくれていて、それがまた面白くて、もうすっかり見にいきたい気持ちになっている。
宝塚歌劇団在団中の上田久美子さんは、文学エリート天才スター演出家、というイメージで、ヅカファンからは雲の上の存在だったし、とても人気だった。退団後も宝塚界隈のファン向けにビジネスをしようとすればできてしまえる状況なのに、意外に素朴な人というか、自分のネームバリューや過去の栄光には全く無頓着な様子で、自分の好奇心と冒険心を楽しませるがごとく、面白い作品をつくりたいパッション、お客さんに対してのサービス精神の旺盛さが全面的にでていて、次はどんな作品にトライされるのかな、とずっと気になってしまう。note記事には、時々、制作の様子(何を考え、どんな場所でどんなふうに過ごして制作しているか、どんな作品をみたか等)や制作中に考えたことを文章にしてくれるときもあって、いつも楽しみ。
過去の栄光には無頓着だけれど、宝塚で培った制作技術をすごく大切にされていて、そこを出発点に様々な創作があるかんじがしていて、そういうところもいいなあと思う。ファンとしては嬉しい。
宝塚時代の上田さんの作品は、わかりにくい複雑なことを、単純化するのではなく、複雑なことは複雑なまま、話の筋はきちんと整理整頓して観客にしっかり届けようとしてくれるところがよかった。すごく観客のほうをむいてくれている作家だと思っていた。また、登場する人物たちのキャラクターが魅力的で、例えば、慕情や恋人の命よりも自分のプライドを優先してしまうヒロインや、圧倒的な権力で国を制圧する独裁的な王様など、倫理的にまずい(と思われるであろう)キャラクターも、そういう人がもつ魅力を宝塚的なチューニングにあわせて作品をつくってくれるところも好きだった。(あと、主人公とヒロインカップルが簡単に好きだの愛しているだの言い合わないところもよかった。そこにロマンスがあった。これは完全にわたしの好みというだけの話だけど。)退団後の作品は1作品しか見れていないのだけれど、観客にしっかり届けることは大前提としたサービス精神の旺盛さは健在で、今回の『ハムレット』もそんな気配がしていて、迷っている。見たいなぁ。
SPAC俳優の榊原有美さんとの雑談動画を見ていてふと思ったのだが、わたし、ラジオ収録などのネット上に自分の声が公開される場での語りは、上田久美子さんの語りをインストールして話している気がする。そっくりとか似ているわけではないのだが、話がドライブするときのスピード感とか言葉の詰め方とか、他の人は気づかないかもしれないけれど、自分的には影響をうけているな、と思う部分があるのだ。そういえば、新入社員時代、電話対応がとても苦手なわたしは、電話での話し方がうまい先輩を観察して、言い回し、声の出し方、説明の仕方、すべて真似してなんとか乗り切っていた。電話中だけ、その先輩になりきって、演じて乗り切っていたのだと思う。ラジオ収録についても、多分わたしはお喋り好きなんだけれど、苦手意識もあるから、上田久美子さんを召喚し、なんとか上手く喋りたいと思っているのかもしれない。とても恥ずかしいなと思いつつ、ちょっと面白いなとも思う。
※追記
このブログの更新後、上田さんのnoteに新しい記事があがっていた。『ハムレット』の出演者紹介だった。楽しい制作現場なんだろうな〜と思う記事だった。ことばにして魅力を伝えるのがうまい。有料記事だけれど、ほとんど無料で読めるように設定されている。
ハムレットの出演者紹介|上田久美子(projectumï)
コメント