2026年3月 − 08
まるネコ堂に行く前に滋賀県立美術館に寄って、『笹岡由梨子のパラダイス・ダンジョン』を観た。会期終了直前になんとかすべりこみ!
最寄というには距離があるが、それでも今住んでいる場所から1番近い美術館なので、良い展覧会がやっていると嬉しい。宝塚やプロ野球に時間と労力を使っていたターンが落ち着き、美術館やギャラリーに行く時間が少し増えてきたこの1年を振り返ると、滋賀県立美術館の展示は、企画展も常設展も(すべてをみることは出来ていないが)印象的なものが多かった。
滋賀県立美術館は自分にとって特別な美術館だ。両親は芸術に全く興味がないし、子供の頃、文化的なものと接触がなかった自分の人生において、芸術とはじめて出会ったのが高校の美術部だった。その美術部でたびたび訪れたのが、滋賀県立美術館だった。地方の美術館は、芸術とは無縁の生活をしていた人たちのはじめての芸術の出会いの現場や、芸術を愛する人たちの拠り所になることがあると思う。だから、見応えのある展覧会がやっているのはとても良いな思う。これからもそうであってくれると嬉しい。積極的に観に行きたい。
今回の『笹岡由梨子のパラダイス・ダンジョン』は、滋賀県立美術館でやること自体、とてもびっくりした企画だった。企業版ふるさと納税によって、協賛がついたことも大きいのかもしれないが、こんなガチ現代美術作品をこんな片田舎で見ることができるなんて。関西に拠点を置く若手作家の個展を美術館で開催するシリーズの第1弾らしい。笹岡さんは大津にて制作をされていることも今回初めて知った。
映像作品がメインの展示だったのだが、幕や照明で、展示室内や、展示室をつなぐ通路の雰囲気を丁寧に作りこまれているのが印象的だった。タイトルのとおり、ダンジョンの中を進むような展示空間。ゆったり一つ一つの作品を見ていく感じが、あの美術館がある文化ゾーンの雰囲気にも合っているし、観ている人に楽しんでいってほしいと思ってくれているような、もてなされいてるような気持ちになった。尖りと優しさ。
作品自体は、人間の性や生きることや死ぬこと、愛や家族をテーマにしていることが多い。映像と人形のキメラのようなキャラクターたち登場する映像作品やインスタレーションが、笹岡さん自作の歌と曲(耳から離れなくなる曲調)とマッチして、不気味だったり怖かったりするのだが、しばらくみていると、なんか可愛くて愛おしくなってくるから不思議だった。悲しいのにユーモアがあったり、気持ち悪いのに癒されたり、とてもくせになる。どの作品も、笹岡さんの人生の個人的体験がベースになっていることが多いようで、作品を制作しながら、人生のさまざまな出来事や自分の気持ちにどうにか向き合っている人なんだなと思った。国立国際美術館で開催されていた『プラカードのために』でも笹岡さんの作品が展示されていたが、今回の個展では、作品を連続して見ることができ、展示室の雰囲気と相まって、不気味さとユーモラスさがより際立ち、楽しく鑑賞できたような気がする。



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