2026年7月 − 03
映画『急に具合が悪くなる』を観てきて、帰り道、「偶然」についてずっと考えていた。
若干表現は違ったかもしれないけれど、確か劇中に主人公の2人が、「準備ができたからあなたと出会えた」と話すシーンがあった。偶然を受け取るには準備がいる、ということをわたしも時々考えることがある。生きている時間は常に本番で、絶えず様々な出来事が起こっている。意識していたり意識していなかったりする日々の出来事のなかで、「偶然」は無関心から関心に切り替わる、または関心から無関心に切り替わる瞬間のような気がしていて、それが「偶然」になるには、出来事として受け取る「準備」が必要なのではないかと思う。偶然になる準備。わたしたちは常になにかの準備をしていて、偶然を引き寄せているのではないかと思うときがある。映画作品はそういう偶然性を使ってつくられているんじゃないかな、と思うこともある。
映画、良かったです。原作もすごく良いんだろうな。観る前は、希望や理想が描かれすぎて気が引ける映画だったらどうしようと不安だったが、よく考えたら濱口監督はメッセージ性を強く打ち出すような作風の人じゃなかった。たくさんの準備に支えられた、俳優たちの、その日その場限りの美しいシーンがいくつも集まってできていた。特にぐっときたのは長塚京三演じる吾郎と岡本多緒演じる真里が、西日がさす病室でふたりで話すシーン。あと、京丹波町の展望台で真里とマリーが話しながら夜明けを迎えるシーン。映画館で観て良かった。希望は密かに輝いていてほしい。そっと受け取りたい。
ちなみに観に行ったのは、濱口監督のQ&Aトークイベント付き上映会だった。リピーターが多そうだった。すごい。
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